教授リレーエッセイ

わが親友 精神医学 池田 学

 精神医学
教授 池田 学

皆さんはイヌ派でしょうか?それとも、ネコ派でしょうか。家族の一員として迎え入れベッタリ離れずにいたい人は
イヌ派で、互いの生活スタイルを尊重し適度な距離を保ちたい人はネコ派なのかもしれません。
私は、もちろん(!)イヌ派です。したがって、今回はヒトとイヌの関係について考えてみたいと思います。

そもそもヒトとイヌは、いつ頃からどのようにして共に暮らし始めたのでしょうか?イヌの祖先は、分子遺伝学的研究によりオオカミから別れたことがわかっています。
しかも、東アジアでオオカミが家畜化され、イヌの祖先が誕生してきたことが、ほぼ確実になりつつあります。イヌの遺伝子研究からは、オオカミとイヌの祖先が分かれた時期は、一匹のオオカミから由来する場合は約4万年前だといわれています。それほど、“昔”のことではありません。例えば、我々ヒトの祖先が最も近縁であるチンパンジーやボノボ(ピグミーチンパンジー)の祖先と別れたのは600?700万年前だといわれていますし、我々現代人の祖先と親戚であるネアンデルタール人の祖先が分かれたのは約50万年前ですから、比較的“最近”の出来事なのです。事実、オオカミとイヌは現在でも交配が可能で、子孫も繁殖力を持つといわれています。

では、なぜヒトとイヌは、“短期間”に親友になりえたのでしょうか。最初は、人懐こいオオカミがヒトの居住地の近くで、残飯などを漁りながら暮らし始めたのかもしれません。
そのうち、(力も弱く牙もない)ヒトは、猛獣たちが近づいてくると傍のオオカミが素早く反応してくれるので、夜もぐっすり眠れることに気づいたのかもしれません。そして、人懐こいオオカミを選んで交配を重ね続けた結果、ヒトと極めて相性の良いイヌが短い間に誕生したのではないかと考えられています。

このようにして始まったヒトとイヌとの共生は、我々現代人の進化にも決定的な役割を果たしたのではないかという説があります。前述したネアンデルタール人が滅亡したのは数万年前ですが、同時代に並存していた現代人の祖先であるクロマニョン人の遺跡からは共生していたイヌの骨がしばしば出てくるのに対して、ネアンデルタール人の遺跡からはほとんど発掘されないことが知られています。もしかしたら、イヌという助け合える親友を得たヒトだけが、厳しい自然淘汰を生き抜くことができたのかもしれません。

難しい理屈はさておき、帰宅したら皆さんの愛犬との再会を心ゆくまで味わってください。
数万年来の友は、あなたにとって家族の中で一番の理解者であるかもしれません(おっと、これは我が家の特殊事情でした)。

*ヒトとイヌの関わりをもっと知りたい方には、コンラート・ローレンツ著「人イヌにあう」
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)、菊水健史,永澤美保著「イヌのココロをよむ ―伴侶動物からわかること」(岩波科学ライブラリー)をお勧めします。

教授 池田学
情報統合医学講座 精神医学
私が8代目の教授に就任し、新たな研究体制を構築しつつあります。当研究室は、質の高い臨床を基盤とした臨床研究を展開する一方で、最先端の生物学的研究の伝統を有しています。精神医学は未解明の問題も多いため、基礎と臨床の幅広い課題に対応する研究と人材育成を行っていきます。
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