教授リレーエッセイ

新しい禁煙補助薬への期待 保健学専攻 総合ヘルスプロモーション科学講座 (ヘルスプロモーション・システム科学) 三上 洋

保健学専攻
総合ヘルスプロモーション科学講座 (ヘルスプロモーション・システム科学)
教授 三上 洋

私が薬理学附属病院において、老年・高血圧外来のかたわら禁煙外来を担当してすでに 5年になろうとしている。といっても隔週の外来のかたわらの診療であり、残念ながら 十分な成果を挙げているとはいい難いのが現状である。

昨年11月に発表された厚生労働省の調査では、2008年のわが国の喫煙率は21.8%であり、 2003年に比して5年間で5.9ポイントの減少を示し、喫煙人口は着実に減少していることが 明らかとなった。しかし、この中で禁煙を試みたことがある人は男性52.1%、女性57.0% だった一方で、「たばこをやめたい」と考えている人は、男性で28.5%、女性で37.4%に とどまった。

すなわち禁煙を試みても再喫煙している人が多い一方で、禁煙に関心の無い人も根強く 残っていることを示している。これはたばこが「ニコチン依存症」という疾患を 引き起こすためであり、依存を形成する点においては覚醒剤や麻薬のように社会的に 厳しく罰せられる薬物と同程度に強力であるためである。2006年より「ニコチン依存症 管理料」の名目で禁煙外来において禁煙支援のための薬剤が保険適応となったのは、 ひとえにニコチン依存症という疾患である喫煙を治療することを目的としていること によるのである。

このようなニコチン依存症の治療薬としては、つい最近までニコチンガムとニコチン パッチがあるのみであった。これらは喫煙欲求を抑え得る程度のニコチン血中濃度を 維持することによって喫煙行動を回避させることを目的とするものであり、まさに 毒をもって毒を制する如き治療であった。そのためニコチン処方が禁忌となる虚血性 心疾患を有する禁煙希望者などにおいて使用は禁忌、あるいは制限せざるを得なかった。

しかし、2008年4月から使用可能となったバレニクリン(チャンピックス)は、 内服薬でありニコチンが禁忌となる疾患患者においても投与可能であり、さらにより 強力な効果のあることが認識されつつある。バレニクリンはニコチン依存形成に関与 する脳内の報酬回路に存在するα4β2ニコチン受容体に選択的に結合して効果を発揮 する。その薬理作用は、第一に完全な拮抗薬ではなく、ニコチンの約半分程度の作用を 有する部分作動薬(アゴニスト)であることにより、報酬回路の伝達物質である ドパミンを少量ながら分泌させ、禁煙に伴ういわゆる離脱症状を緩和する。 第二には、バレニクリンがニコチン受容体を占拠して拮抗薬(アンタゴニスト)として 作用することにより、たとえ喫煙してもドパミンの分泌が阻害されるため、喫煙した 時と同じような満足感が得られなくなることにより、再喫煙を防ぐ効果がある。 本薬の使用によりプラセボに比して2倍の禁煙成功率が報告されており、私の経験でも ニコチンパッチに比して確実な禁煙達成効果を確認している。

このような薬剤の使用をせねば、意思の力のみで禁煙を達成することが困難である という事実は、依存の恐ろしさを物語るものである。世のいまだに禁煙に無関心な 喫煙者が、たばこに対する依存の恐ろしさ、空しさを自覚し、それから脱却する ことの必要性を認識して、一日も早く禁煙に踏み切られることを切に希望するもので ある。

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