2009年

 

岩城 光宏、柳田 敏雄 ≪分子生理学≫ 「ミオシンVIの一方向運動のためのブラウン運動整流機構」


クリックで拡大表示します

2009年5月10日 発表
掲載誌 Nature Chemical Biology, 5(6), 403-405 (2009)

ミオシンVIの一方向運動のためのブラウン運動整流機構

分子モーターであるミオシンVIは広範に存在し、エンドサイトーシスなどの小胞輸送や細胞運動、膜張力の保持 といった動きや力発生を担う。特に小胞輸送時には、ATPの加水分解エネルギーを利用し細胞骨格のアクチンフィラメント上で一方向の歩行運動を行う。歩行 運動において、ミオシンVIの2つのモーター部位はアクチンフィラメント上で交互にブラウン運動を行い、前後の結合位置を探索していることが知られていた が、どのようにして結合位置を決定しているかわかっていなかった。本研究では、レーザートラップを用いた1分子操作技術によって結合位置を探索中のモー ター部位に操作を加え、結合位置の決定機構を調べた。ミオシンVIの2つのモーター部位はネック部位を介して連結されており、交互にモーターを前方に押し 出しながら歩くと、分子内で歪みが加えられる。ブラウン運動によって結合位置を探索しているモーター部位は、前方の結合位置で加えられる分子内歪みを感じ るとATPの加水分解サイクルを進めてアクチンと強く結合していることがわかった。この成果は、我々が、ナノスケールで機能する分子モーターのブラウン運 動整流機構を明らかにしたことを意味する。

URL