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遺伝子発現調節機構に関する研究

 新たに転写されたmRNAを効率よくタンパク質に翻訳する機構は、様々な刺激に応答して活性化された遺伝子を速やかに、かつ、適切なタイミングで機能させるためとりわけ重要であり、ストレス応答、多細胞生物における細胞分化や形態形成といった高次生命機能発現の分子基盤となると考えられます。転写の場である核と翻訳の場である細胞質とが核膜により物理的に隔てられている真核生物では、時空間的に制御された遺伝子発現を可能にするため、mRNAの転写、スプライシングや3'-末端形成などのプロセシングや核外輸送、翻訳といった諸段階に関わる因子が相互に連携し、各素過程が機能的に共役していることが知られています。

 一方で、ある種のmRNAは、細胞質に輸送された後に貯蔵され、あるいは、貯蔵された状態で細胞質内の適切な場所に輸送された後、外界からの刺激などに応じて活性化され、初めてタンパク質合成の鋳型として機能します。このような翻訳レベルでの遺伝子発現制御は、転写レベルでの遺伝子発現調節に加えて、胚発生、生殖細胞の形成、細胞の極性形成、神経の可塑性の制御などに関わる種々の遺伝子の発現過程において、非常に重要な役割を果たすことが知られています。

 私たちは、これまでのRNAの核外輸送機構に関する研究成果(Katahira et al., 1999; Shibata et al., 2006) をさらに発展させるべく、現在より広い意味での遺伝子発現調節機構、殊に、多細胞生物におけるmRNAの核外輸送と転写、プロセシングとのカップリングの分子機構を明らかにするとともに、核内におけるmRNAプロセシングと細胞質内における翻訳制御機構、mRNAの輸送機構との機能的な連関を理解するために、以下のような研究を行なっています。

@)mRNAの核外輸送受容体

 rRNA、tRNA、mRNAなどの様々なRNAは、核内で転写された後、輸送受容体と総称されるそれぞれに固有のタンパク質性因子により認識され、細胞質へ運搬されます。mRNAの核外輸送は、核内低分子量GTPase Ranやimportin- ファミリータンパク質に直接依存しないという点でユニークであり、出芽酵母のMex67-Mtr2および多細胞生物のTap-p15ヘテロダイマーと呼ばれる非importin- タイプのタンパク質が、特異的な輸送受容体として機能することが、私たちを含めた内外のグループの研究により明らかにされました(Katahira et al., 1999)。

 輸送受容体の大サブユニットであるTapは、図に示すようにアミノ末端側から4つの機能ドメインに分割されます。カルボキシ末端側のM-(middle)ドメインには輸送受容体の小サブユニットであるp15が結合し、安定なヘテロダイマーを形成します。p15の結合によりM-ドメインに形成される疎水性パッチとC-(carboxyl-terminal)ドメインに見られるUBA(ubiquitin associated domain)様モチーフは、ヌクレオポリンに見られるFG-反復配列と相互作用することが知られており、両ドメインを介したヌクレオポリンとの相互作用を介してTap-p15ヘテロダイマーは、積み荷であるmRNAの核膜孔の通過を促進すると考えられています(Katahira et al., 2002)。


 多細胞生物においては、Tapに構造的な相同性を示すいくつかのパラログが発現していることが知られています。私たちはこれまでにマウスのTapパラログ(Nuclear RNA eXport Factors = NXFと総称されます)の機能についての解析を進め、それぞれは予想されていた以上に多彩な機能を示すことを明らかにしました(Sasaki et al., 2005;Katahira et al., 2007;Takano et al., 2007)。              

    

A)mRNA核外輸送に関わるアダプター分子

 Tap-p15はin vitroにおいてRNA結合能を示します(Katahira et al., 1999)。しかし、生体内では、アダプターRNA結合タンパク質との相互作用を介して、積み荷となるmRNA は、Tap-p15により間接的に識別されていると考えられています。アダプターとの結合にはTapのアミノ末端側のLRR(leucine-rich repeat)ドメインを含む領域が必要であることが知られています。また、アダプターは輸送受容体によるmRNA認識を仲立ちするばかりでなく、転写や3'-末端形成、スプライシングといった生合成過程の進行に伴ってmRNAに結合するとともに、各過程に関わる因子と相互作用することで、核外輸送と各素過程とを機能的に共役させ、それぞれの効率を高めると考えられています。mRNA結合タンパク質Alyは、それらの中でも最もよくその性質が解析されているアダプター分子です(Zhou et al., 2000)。しかしながら、殊に多細胞真核生物においては、アダプター分子にどの程度の多様性があり、また、それらがどのように使い分けられ、それぞれが生体内においてどのような固有の機能を果たしているのかという疑問が現在も残されています(Katahira and Yoneda, 2009)。

 我々は最近、ヒトTHO/TREX複合体の構成因子の一つであるThoc5の機能解析を行い、Thoc5がアダプターAlyと同様にmRNAおよび輸送受容体Tap-p15に結合すること、さらに、遺伝子ノックダウンの実験から、哺乳動物細胞においては熱ショックmRNA(HSP70 mRNA)の核外輸送が、Thoc5およびAlyの両アダプターに依存することを明らかにしました(Katahira et al., 2009)。また、Thoc5はこれまでに知られていたTapのアミノ末端領域にあるアダプター結合ドメインではなくM-ドメインに結合することも見出しました。これらのことは、哺乳動物細胞のHSP70 mRNA核外輸送過程においては、従来から知られているアダプターAlyに加えて、Thoc5が新規のコアダプターとして機能していることを示しています。              

             

B)核内でのmRNAプロセシングと細胞質における翻訳制御機構のかかわり

 核外に無事輸送されたmRNAは、タンパク質合成の鋳型として翻訳過程に供されます。遺伝子発現の最終段階である翻訳過程においても様々な制御機構が存在し、しかも外界からの刺激に応じてすばやく調節が行なわれています。近年の研究から、このような迅速かつ柔軟な制御が可能となっているのは、mRNAが単体ではなく多種多様なmRNA結合タンパク質(mRNA-Binding Protein; RBP)と複合体をなして存在しており、複合体全体として空間的に制御されうるからである、ということが明らかになってきています。そういった空間的な制御は翻訳の抑制において特に顕著に見られ、mRNAとRBPよりなる顆粒構造体が重要な役割を担っていることが知られています。中でも多くの生物に保存されているのが、Processing body(P-body)、またさまざまなストレスに応じて速やかに形成されるStress granule(SG)という構造体です。このような顆粒構造体に含まれるRBPは当然、細胞質でのmRNAの機能調節に関わると予想されますが、その一部のものは興味深いことに核内にも局在しており、しかも生細胞中では核と細胞質との間を行き来(shuttle)していることがわかっています。私たちはこれらの因子に注目し、核内でのmRNAのプロセシングと細胞質での翻訳の機能的な連関を担う存在としてイメージング技術を活用した解析を進めています(Fujimura et al., 2009)。


***大学院生を1〜2名ほど募集しています。上記の研究に関して、より詳しいことを知りたい方は、片平までご連絡ください。***

    

上記の研究に関連する業績

1) Fujimura,K., Katahira,J., Kano,F., Yoneda,Y., and Murata,M.

Biochim. Biophys. Acta. in press, (2009).
2) Katahira,J., Inoue,H., Hurt,E., and Yoneda,Y.

EMBO J. 28, 556-567. (2009).
3) Katahira,J., Miki,T., Takano,K., Maruhashi,M., Uchikawa,M., Tachibana,T., and Yoneda,Y.

Nucleic Acids Res., 36, 616-628. (2008).


私たちのデータが、表紙に採用されました。

4) Katahira,J., Strasser,K., Saiwaki,T., Yoneda,Y., and Hurt,E.

J. Biol. Chem. , 277, 9242-9246. (2002).
5) Katahira,J., Strasser,K., Podtelejnikov,A., Mann,M., Jung,J.U., and Hurt,E.

EMBO J. , 18, 2593-2609. (1999).
6) Katahira,J. and Yoneda,Y.

RNA Biol, 6. in press, (2009).
7) Sasaki,M., Takeda,E., Takano,K., Yomogida,K., Katahira,J., and Yoneda,Y.

Genomics , 85, 641-653. (2005).
8) Shibata,S., Sasaki,M., Miki,T., Shimamoto,A., Furuichi,Y., Katahira,J., and Yoneda,Y.

Nucleic Acids Res., 34, 4711-4721. (2006).
9) Takano,K., Miki,T., Katahira,J., and Yoneda,Y.

Nucleic Acids Res., 35, 2513-2521. (2007).
10) Zhou,Z., Luo,M.J., Strasser,K., Katahira,J., Hurt,E., and Reed,R.

Nature, 407, 401-405. (2000).
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