教授リレーエッセイ

“空気を読む”ということ 保健学専攻 機能診断科学講座 中谷 敏

 
教授 中谷 敏

 

戦艦大和は1945年4月7日に沖縄出撃の途上アメリカ軍に撃沈された。
今から74年前のことである。無謀と言われたにもかかわらず大和が特攻出撃したのはなぜだろうか。
評論家の山本七平氏の著した『「空気」の研究』に、太平洋戦争時の軍令部次長小沢治三郎中将の戦後の発言として「全般の空気よりして、当時も今日も(大和の)特攻出撃は当然と思う」とある。
この事例では大和の出撃を無謀とする人達にはそれを裏付ける多くのデータがあったにもかかわらず、結局は「空気」が出撃を決定したわけである。
このことは戦争末期の閉塞的状況下での特殊事例と言われるかもわからない。しかし実は開戦前の事情も同様であったように思う。多くの開戦反対意見があったにもかかわらず、積極派が「空気」を作り出し、新聞などのメディアがあおってそれに国民が乗せられた。結果、国が壊滅状態に陥った。
 
現代のわれわれも同じようなことを見聞きし、体験しているのではないだろうか。数年前にはやった「忖度」も「空気」の一種かもわからない。中学や高校などで集団で特定の学生をいじめるというのも「空気」のなせるわざであろう。教授という仕事柄、あるいは学会での立場上、いろいろな会議に出席する。いろいろな意見が出るが、中には、えっ?と思うような意見が多くの支持を得ることもある。その多くはやたらと威勢のいい意見であり、そういう意見程「空気」を味方につけやすいように思う。反対するとKY(もはや死語か)などと言われかねない。
 
人は見たい現実しか見えない。未来がバラ色であるかのような楽観的意見は「空気」を支配しやすい。もちろんその意見が正解かも知れない。しかしもしその意見が間違いなら…。「空気」のせいで組織や国に間違った方向に進まれてはたまらない。少しでも違和感を感じた場合、「空気」に負けずに発言する勇気は持ちたいと思う。と同時に、自分が間違った「空気」を醸成する側にならないようにも気をつけたいと思う。
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