教授リレーエッセイ

講義を楽しむ 保健学専攻 統合保健看護科学分野 看護実践開発科学講座(周手術期管理学) 梅下 浩司

保健学専攻
 統合保健看護科学分野 看護実践開発科学講座(周手術期管理学)
教授 梅下 浩司

平成17年医学科から保健学科に異動した際、講義の担当が多いことに驚いた。薬理学教授会で向かいに座った医学科の先生から「梅下君、どれぐらい講義やってるの?」と尋ねられ、「90分を年60コマぐらいです」と答えたところ、「すごいなー、僕は3コマほどやで」と言われ、一体褒めて頂いたのか同情して頂いたのか迷ったものだった。

保健学科の学部生/大学院生を対象の講義が中心であるが、全学の、特に文科系の学生に喋る機会も多い。

一つは、少人数の学生が教員を囲んで行う対話型教育である、共通教育の「基礎セミナー」である。前任者は死の臨床をテーマとしておられたが、その内容は私には荷が重く、替って「臓器移植の諸相」を開講した。
時恰も「臓器移植に関する法律」の改正が話題になっていた時期で、法学部からの受講が多かった。この際、学部による学生の差を実感した。初回の講義の際に、選んだテーマに基づいて毎回一人が発表し、それを基にディスカッションを行う旨説明したところ、後日保健学科の学生より、ディスカッション中心の授業は苦手なのでと辞退の申し出があった。次回他の学生達に話したところ、「そこがこの講義の面白いところなのに」と不思議がっていた。
一般に法学部など文系の学生は自分の考えを遠慮なく述べるのに対し、薬理学の学生は調べてきた事実を淡々と発表し、あまり質問しない者が多かった。最近高校生も受講できるようになり、阪大生には良い刺激になっている。夏になり講義が終わる頃には、異なる学部/学校の諸君がすっかり仲良くなり、授業後に揃って食事に出かけている(教員の私を誘ってくれたことがないのは寂しいが—)。なお、法改正後は法学部生の受講が激減したが、改正後も臓器提供数の伸びは今一つであり、再び法学部からの参加を期待するところ大である。

また、「健康科学の考え方」というオムニバスの講義を1コマ担当しているが、これには文系の学生が実に270名程受講する。「社会と肝移植」という題名で、臓器移植/臓器提供を文系の諸君に理解してほしいと、毎年力が入る。
インフォームドコンセントの資として、移植しない場合に予測される予後/移植した場合の予後を、初回診察時に具体的に説明する旨熱を込めて語っていたところ、一人の学生が気分不良を訴えた。幸い横臥させるとよくなった。
その日提出されたレポートの中に、『講義中に「死亡する」という言葉を沢山聞いて気分が悪くなった。
「死ぬ」などという言葉を使うのは不謹慎だ』という内容のものがあり、件の学生が書いたものと思われた。話し方に注意しなければならないことを学んだが、大学生になっても死を正面から考えたことのない者がいるのだろうかと不思議にも思った。

定年まであと3年余となった。沢山の講義を仰せつかったことを幸せと考え、学生と共に楽しんで行きたい。(了)

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