教授リレーエッセイ

くすりの生化学 医化学 高島 成二

医化学
教授 高島 成二

学生時代に生化学の追試を3回も受けてやっと通してもらった自分が、まさか生化学の講義をするようになるとは思いもしなかった。医学における生化学の重要性は疑う余地もなく、講義でも力説しているが、きっちり理解してくれる薬理学生が多いのには驚く。優秀な科学者がこの中から生まれてくるのだろうと想像され実に頼もしい。

自分の専門分野に疲れたら、KEGGというすばらしいサイトを見ていただきたい。

私は最初にこのサイトをみたとき、3回目の生化学追試でグルタミン酸の代謝経路をやっと教官に説明でき進級させてもらったことを思い出し吐き気がしたものだが、いまは暇があれば眺めている。

楽しみ方のコツは、複数の連続した代謝経路を下等生物からヒトまで一貫して眺めてみるのである。そしてそこに絡む代謝物の自由エネルギーレベルと反応のフラックス指数をしらべ、有機化学的な反応の流れを考え筆記する。次にそこに絡む酵素の構造と生化学的特徴を文献等で徹底的に検索する。最後にその代謝経路の進化的意義を考えるのである。

ここで窒素固定細菌や好熱菌などに特徴的な代謝部分にどうしても目を奪われると思うが、我慢して藻類・植物にその検索範囲を広げていただきたい。そこには無限につながる2次代謝産物の代謝経路が広がっているが、そこを掘り下げていくと生物とはなにかが見えてくるような錯覚に陥る。

ちょっと中毒者のような発言になってしまったので、もっとまじめなヒトのためにはこのような説明がよいか。植物が生み出す2次代謝物は天然化合物として多くが臨床応用されている。臨床家であれば抗生物質もふくめ天然化合物がその発見のもとであった薬剤を今でも必ず使っている。一度、その化合物の代謝経路をたどりその化合物ができた理由に思いをはせていただきたい。実に楽しいと保証する。

教授 高島成二
生化学・分子生物学講座 医化学
私たちは、”分子レベルの生物学的現象をまず新たに発見する探索的研究”を優先し、それを独自の生理機能解析系につなげることで、小さな発見を大きな生命機能に結び付けること、そして最終的には病態の理解や疾患治療につなげることを目標としています。主に標的とする疾患は心不全や虚血性心疾患など循環器疾患ですが、このような目的の達成には、循環器・心血管分野にとどまることなく、分野の垣根を越えた多くの研究者、研究機関との連携・協力が必須だと考えています。